ハンドボール漫画

【ネタバレあり】ハンドボール漫画「送球ボーイズ」の面白さとリアルさ

【ネタバレあり】ハンドボール漫画「送球ボーイズ」の面白さとリアルさ

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小学館が配信するウェブコミック配信サイト「裏サンデー」で連載されている、フウワイ原作、サカズキ九作画ハンドボールを題材とした漫画「送球ボーイズ」

現在、唯一連載されているハンドボール漫画なのですが、恥ずかしながら送球ボーイズの存在を私は最近知りました。

試しに読んでみたところ、想像以上に面白く一気読みしてしまいました。

今回は、送球ボーイズの感想をハンドボール経験者の目線で読者のみなさんにお伝えしていきたいと思います。

 

送球ボーイズはリアルなハンドボール漫画

私が送球ボーイズを読んだ最初の感想は、「想像していたよりもかなりリアル」な漫画だというところです。

もちろん漫画ですので、ツッコミどころは満載ですが、そのあたりはご愛嬌。

それでも現実的な点が多いので、何点かピックアップして紹介したいと思います。

 

送球ボーイズのあらすじと設定

送球ボーイズは、現実世界でもハンドボールが盛んで激戦区の富山県氷見市が舞台となっています。

インターハイ常連校である蓬莱大附属高校を4年前に倒し、インターハイ出場を果たした火鼠高校。

その火鼠高校に憧れてハンドボール部に入部した佐倉凪と、家庭の事情で東京から転入してきた志熊栄都(しぐま えいと)の2人の主人公を中心に、高校生ハンドボーラーたちが成長していく姿を描いた漫画です。

 

【ここがリアル①】絶対王者「蓬莱大附属高校」の存在

送球ボーイズでは、蓬莱大附属高校が富山県の絶対王者として描かれているのですが、現実世界でも、各地域には絶対王者的なインターハイ常連校は存在します。

大阪府の大阪体育大学浪商高校、茨城県の藤代紫水高校、岩手県の不来方高校などは、毎年のようにインターハイへ出場しています。

 

【ここがリアル②】入部時の身長制限

火鼠高校のキャプテン大月雪弥は、勝てるチーム作りの一環として、低身長者を入部させな身長制限を設けていました。

のちに志熊栄都の登場で身長制限の入部ルールは撤廃されますが、読者目線でいうと身長制限は理不尽に見えたかも知れません。

ですが、現実のハンドボールの世界では、「身長」に関して更にシビアです。

日本代表のハンドボールも、世界で通用する代表チーム作りのために、NTS(ナショナルトレーニングシステム)が設置されており、日本各地でブロックトレーニングが行われています。

その中でも有望な選手は、ブロックトレーニングの上位にあたる、センタートレーニングへ推薦されます。

そのセンタートレーニングへ推薦する基準も数字で明確化されており、選考基準の一つとしてU-16男子では身長180cm以上と明記されています。
(※2019 年度NTSブロック・センタートレーニングへの推薦について(推薦基準)より)

 

【ここがリアル③】ハンドボールで「ミラーリング」は可能

ハンドボール初心者の志熊栄都は、ダンス経験者で一度他人の動きを見ただけで動作をコピーできる「ミラーリング」能力の持ち主。

しかし、なぜか、ハンドボールの中でも高度な技である「ムササビシュート」が得意技。

じつは、ムササビシュートは、蓬莱大附属高校の1年生で、ジュニア代表の経験者である兎耳山拓斗(とみやま たくと)の持ち技をミラーリング(コピー)したものでした。

「ミラーリング」と言うと、特殊な能力に聞こえてしまいますが、自分より上手な人のきやプレーを「盗む」ということ。

自分より上手なプレーヤーのマネをして練習で磨くことは、上達への近道でもあります。

 

【ここがリアル④】ハンドボール初心者がぶつかる「体力的な壁」

中学にハンドボール部がなく、高校生からハンドボールを始める選手は数多くいます。

志熊栄都のように、いきなり試合に出られる人は稀ですが、ハンドボールの練習のキツさに耐えられず、挫折してしまう人も多く見てきました。

ハンドボールは、試合を通して走りっぱなしのスポーツでボディコンタクトもあり、プレーに耐えられる体力の他にもその中で状況判断ができる集中力が必要です。

実際、安静時を1としてスポーツの強度を数値化した「METs」では、ハンドボール全般の運動強度は12.0と、団体球技の中ではトップクラスの高さとなっています。
(※国立健康・栄養研究所 改訂版 身体活動のメッツ表より)

 

【ここがリアル⑤】右利き右サイドの重要性

主人公の志熊栄都と、ライバル校である蓬莱大附属高校の兎耳山拓斗は、右利きは不利と言われる右サイドを主戦場としています。

そのため、身体を大きくかたむけて放つサイドシュート「ムササビシュート」を得意技としています。

ダンスの動きを取り入れたり、空中で過剰にアクロバティックな動きをするあたりはさすがに漫画ならではの表現ですが、左利きのサイドプレーヤーがいないチームで確実に得点を決める右利きの右サイドプレーヤーは、チームにとって頼もしい存在です。

また、ムササビシュートが注目されがちですが、第125話の不二波高校戦で志熊栄都が放った「クイックのスピンシュート」は、まさにゴールキーパーとの駆け引きにシューターが勝った、リアルな描写と言えます。

 

送球ボーイズから学べることはたくさんある

ここまで、ハンドボール漫画「送球ボーイズ」の中から、現実のハンドボールとの共通点や、実際に使える技術を抜粋して紹介してきましたが、チームとして味方を活かす動き勝つためのメンタリズムなど、まだまだ取り上げたい場面はたくさんあります。

ハンドボールを見たことがない人には、ぜひ読んでもらいハンドボールに興味を持ってもらうきっかけに、現役のハンドボーラーは実際に自分のプレーやチームプレーの参考になる点を探し出し、今後の成長に役立ててみてはいかがでしょうか。

ABOUT ME
HBおじさん
1979年生れ。中学1年からハンドボールを始め、中学3年時に中体連およびJOC県選抜で全国大会出場。 ケガのため20歳で現役を引退するが、34歳の時に大学時代の先輩に誘われ、某中学校ハンドボール部の外部コーチとして再びハンドボールとの関りを持つ。