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ハンドボールは、マイナースポーツと呼ばれてしまうほど、日本では競技人口が少ないです。
しかし、海外ではサッカーやラグビーと同じように人気があり、身近なスポーツの代表格です。
今回は、部活動などで日々ハンドボールに励んでいる現役ハンドボーラーの人でも意外と知らない、ハンドボールの歴史について紹介したいと思います。
古代ハンドボールの起源
ハンドボールの起源については諸説ありますが、最も古いものでは古代エジプト時代に、ボールを手で扱って遊ぶ様子が壁画に描かれているという説があります。
また、古代ローマ時代におこなわれていた「パルパスツム」と呼ばれる球技がハンドボールの起源という説もあります。
「パルパスツム」は、2チームが対戦し、相手チーム後方のラインの向こうまでボールを運ぶと点数が加算されるルールでおこなわれていました。
このほかにも、中世フランスやグリーンランドのイヌイットによるハンドボールによく似た競技があり、ハンドボールのルーツとなる競技は古代から世界各地でおこなわれていたと考えられています。
近代ハンドボールの発祥
19世紀ごろから、様々なスポーツにルールが制定されて、多くの人々が参加できるようになっていきました。
その中で、20世紀初頭にはハンドボールでも、デンマークで7人制(1906年)が、ドイツでは11人制(1919年)のルールが制定され、その後、世界中に広まっていくことになります。
デンマークでの7人制ハンドボール
1906年(明治39年)にデンマークで、最初のハンドボールのルールブックと言われる、1チーム7人制の「ハンドボール競技規則」が、ホルガー・ニールセン氏により刊行されました。
現在の国際ハンドボール連盟(IHF)も、世界で最初のハンドボール試合は、「1896年夏にデンマークのフェーン島東端の町ニュボーで行なわれたもの」との見解を1990年(平成2年)に発表しています。
ドイツでの11人制ハンドボール
ドイツでは、1919年にドイツのカール・シェレンツ氏によって競技規則が制定されたことが記録として残っています。
この競技は、ドイツを中心にヨーロッパ諸国へと広まっていき、1960年代までハンドボールの主流となる11人制ハンドボールの起源となりました。
最終的な11人制ハンドボールの競技規則では、サッカーと同じ大きさのコートとゴールを使用していました。
また、攻守のポジションも、7人制の全員攻撃・全員守備とは異なり、攻撃専門と守備専門のポジションに分業されていました。
また、1936年(昭和11年)のドイツ・ベルリンオリンピックでは、11人制のハンドボールが競技として採用されています。
日本へのハンドボールの導入
日本のハンドボールは、ヨーロッパへの留学経験がある、東京師範学校の大谷武一氏により、1922年(大正11年)に11人制ハンドボールが伝えられました。
1937年には、初の公式試合として関東選手権大会が開催され、全日本選手権(現日本ハンドボール選手権大会)も開催されました。
そして、1938年(昭和13年)に日本送球協会(現日本ハンドボール協会)が設立されることとなります。
現在の7人制ハンドボールへの統一
少人数で競技場の小さい7人制ハンドボールは、11人制に比べて、競技がおこないやすいことから、徐々にハンドボールは7人制が主流となっていきます。
11人制ハンドボールを主流とするドイツが、第二次世界大戦で敗戦したことにより、7人制ハンドボールが主流のスカンジナビア諸国が国際ハンドボール連盟を設立しました。
こうして、ハンドボールは7人制へと統一されていくこになります。
世界選手権では、女子大会は1962年(昭和37年)、男子大会も1967年(昭和42年)に7人制へと一本化されました。
日本でも、1957年(昭和32年)に女子の試合が、1963年(昭和38年)には全てのハンドボールの公式試合が7人制へと統一されています。
オリンピックでは、1940年(昭和15年)から1968年(昭和43年)の間、ハンドボールは実施種目から外れていましたが、1972年(昭和47年)の西ドイツ・ミュンヘンオリンピックで、男子の7人制ハンドボールが実施種目に採用されました。
1976年のカナダ・モントリオールオリンピックでは、女子競技も実施種目に追加され、現在に至るまで、7人制ハンドボールはオリンピックの実施種目に採用され続けています。
まとめ
現在は7人制のハンドボールが主流ですが、実は11人制のなごりもいまだにあります。
代表的なものは、ディフェンス時にうまく守れた時の「ナイスバック!」という声掛けです。
これは、攻撃陣(フォワード)と守備陣(バックス)が分けられていた11人制ハンドボールの「ナイス・バックス!」のなごりです。
また、現在進行形でハンドボールのルールは改良されているので、現役ハンドボーラーの皆さんも、ハンドボールの歴史の一部と言えます。
日本では競技人口が約10万人と、他のメジャースポーツに比べてマイナーなハンドボールですが、ハンドボールの歴史を知り、自分も歴史の一部を担っていると考えれば、自信と誇りをもってプレーできますね。