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ハンドボールのディフェンスシステム【1-2-3編】

ハンドボールのディフェンスシステム【1-2-3編】

※記事内にPRを含む場合があります。

今回は、1-5ディフェンスの発展型とも言える1-2-3ディフェンス解説します。

どんな陣形のディフェンスシステムにも言える事ですが、監督をはじめとした指導者によって考え方は様々です。

ここでは私が実践してうまくいった、もしくは相手にうまくやられた実体験をもとに、1-2-3ディフェンスのメリット・デメリットや基本的な動きを紹介します。

 

1-2-3ディフェンスのメリットとデメリット

ピラミッド型に陣形を敷く1-2-3ディフェンスは、うまく機能させられれば相手の攻め手を比較的簡単に封じる事ができます

その反面、チーム内での約束事を全員が共通意識として持たなければ、簡単に崩されることもある、諸刃の剣のような一面もあります。

 

1-2-3ディフェンスのメリット

1-2-3ディフェンスは、上手く使いこなすことができれば、大きなメリットを受けることができます。

そのメリットの中でも、特に大きなメリットを3つ紹介します。

 

①身長の低いチームでも大型チームに対応できる

トップディフェンスと両45度ディフェンスが高い位置を最初から取ることで、小柄なチームでも長身バックプレーヤーが揃っている相手チームにも対応でき、ロングシュートを簡単に打たせないことができます。

 

②一次速攻やクイックリスタートへ移行しやすい

トップディフェンスと両45度ディフェンスが、もともと相手陣内に近い位置にいるので、一次速攻はもちろん、失点してもクイックリスタートへの切り替えが素早くおこなえます。

 

③1-2-3ディフェンス対策をしていないチームには特に有効

1-2-3ディフェンスは、高い位置に3枚のディフェンスが位置取るので、小柄なチームでもかなりの威圧感を相手に与えられます。

相手チームが1-2-3ディフェンスに対する対策をしていなければ、さらに効果は絶大です。

 

1-2-3ディフェンスのデメリット

最初にも「諸刃の剣」と言いましたが、1-2-3ディフェンスにはデメリットも存在します。

もちろん、どんなディフェンスシステムにもデメリットはあるので、「デメリットとどう向き合うか」を大切にして考えてみましょう。

 

①ディフェンス間の連携が必要不可欠

1-2-3ディフェンスでは、自分のマークはもちろん隣のディフェンスのフォローができないと、簡単に崩されてしまいます。

 

②ゴールキーパーの負担が大きい

ここで解説する1-2-3ディフェンスでは、いかに確率の低いシュートを打たせることができるかがキーポイントになります。

失点する確率の低いシュートを相手に打たせて、最後はキーパー勝負が基本ですので、ゴールキーパーの負担は大きくなります。

 

③視野外からの走り込みに弱い

1-2-3ディフェンスでは、基本的にディフェンス全員がボールを見てボールサイドに寄って守ります。

その分、視野外からの走り込みに気づくのが遅れて失点してしまう事も少なくありません。

 

1-2-3ディフェンスの基本

今回紹介する1-2-3ディフェンスは、いかに相手に確率の低いシュートを打たせて、相手に試合の主導権を握らせないかがカギになります。

ここからは、1-2-3ディフェンスの基本的な守り方を解説していきます。

 

全員がボールサイドへ寄って陣形をコンパクトにする

1-2-3ディフェンスでは、相手がボール回しをしている間は、6人のディフェンスはボールの動きに合わせてボールサイドへピラミッド型の陣形で寄って守ります。

1-2-3ディフェンスは、自分のマークする相手が0-6ディフェンスなどに比べ近い位置にいます。

なので、マークするべき相手がハッキリとしていますが、ベッタリと自分のマークする相手から離れずにいると、相手から見れば中央がガラ空きになってしまいます。

そうなってしまっては、1-2-3ディフェンスのメリットである中央を厚く守ることができません。

ボールの動きに合わせて動くことで、相手から見てスキのない陣形を保つ必要があります。

 

ディフェンスは常にフォローを意識してボールを外側に追いやる

1-2-3ディフェンスでフルバックディフェンスは、常に相手ポストプレーヤーに対して勝ちの位置を取り、ポストへのパスは出されないようにすることが大前提です。

図のように、センターが切り込んできたら45度のディフェンスはすかさずフォローへ行き、相手45度にパスを出させます。

相手45度にボールが渡れば、45度ディフェンスはイン側へ抜かせず、アウト側へ押し出すイメージで守ります。

この時点で相手45度にアウト側へ逃げる体制でシュートを打たせる、もしくはサイドへパスを出させます。

サイドディフェンスは、あらかじめ「この角度以下ならサイドシュートを打たせる」とゴールキーパーと決めごとをしておき、決めた角度以下のサイドシュートなら相手に打たせます。

こうして、なるべくシュートが決まりにくい相手に勝負させることが1-2-3ディフェンスの基本です。

 

1-2-3ディフェンスは堅守・速攻が基本

ここまで紹介してきたように、1-2-3ディフェンスは相手に確率の低いシュートを打たせることが基本ですが、相手のミスを誘発する効果も期待できます。

相手のパスミス・キャッチミス・シュートミスをすかさずマイボールにし、速攻での得点に結びつけられれば、相手にとってはかなり厄介なディフェンスシステムと言えます。

※他にもハンドボールのディフェンスには多くの種類があります。

こちらの記事で全ての種類(「0-6」から「2-4」までの5パターン)について解説しているので参考にしてみてください。

ハンドボールのディフェンスシステム | 「0-6」から「2-4」までの5パターン
ハンドボールのディフェンスシステム | 「0-6」から「2-4」までの5パターンハンドボールは、全員攻撃・全員守備のスポーツです。 多彩な攻撃パターンもあれば、ディフェンスシステムも数多くあります。 特に...
ABOUT ME
HBおじさん
1979年生れ。中学1年からハンドボールを始め、中学3年時に中体連およびJOC県選抜で全国大会出場。 ケガのため20歳で現役を引退するが、34歳の時に大学時代の先輩に誘われ、某中学校ハンドボール部の外部コーチとして再びハンドボールとの関りを持つ。