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ハンドボールの基本戦術 | 手っ取り早く得点できる一次速攻

ハンドボールの基本戦術 | 手っ取り早く得点できる一次速攻

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当たり前ですが、ハンドボールは、1点でも相手チームより得点を多くとったチームが勝つスポーツです。

何を今さらと思われるかもしれませんが、実力が拮抗しているチーム同士の試合では、点差を広げることは簡単ではありません。

なにしろ、ハンドボールには3ポイントシュートも満塁ホームランもありません。

「ディフェンス一本、守って速攻!」の応援を試合でよく耳にします。この言葉の通り速攻での得点が最も手っ取り早く、試合の流れをも変えてしまう有効な攻撃戦術だと言えます。

今回は、速攻の有効性とチームとして持つべき意識や、基本的な速攻トレーニングを紹介します。

 

一次速攻は有効な攻撃戦術

ディフェンスで相手の攻撃を守り切り、マイボールになったら、まず狙うべきは一次速攻です。

一次速攻とは、マイボールになった瞬間、敵陣深くまで走っている選手にボールをつなぎ、そのまま得点に結びつける速攻の事を言います。

中学生、高校生、大学生、社会人問わず、強いチームは一次速攻での得点が多い傾向にあります。

一次速攻での得点は、相手に与えるダメージが得点以上に大きく、なおかつチームに流れを引き寄せる事も多いので、非常に有効性の高い攻撃の手段と言えます。

 

一次速攻の基本的な判断

一言で速攻と言っても、状況に応じて速攻に出るか、一旦ボールを落ち着けるのか判断する必要があります。

マイボールになったからと言って、やみくもに攻めても、途中でボールをカットされたり、相手ディフェンスが戻って陣形を整えている状況では、なかなか得点には結び付きません。

また、一次速攻で相手ゴール近くの選手までボールが渡っても、シュートまでいけないと判断したら、次に攻めあがってくる選手にパスをつなぎ2次速攻へと切り替える必要があります。

つまり、一次速攻が狙える状況かどうかを瞬時に見極める判断力が求められます。

 

一次速攻が狙える状況

一次速攻を狙うには、まずはディフェンスで失点を防ぎ、マイボールにすることから始まります。

マイボールになる代表的な状況は、

・相手オフェンスのシュートをキーパーがセーブする

・パスカットでマイボールになる

・相手のミスでボールを奪う

といった形が多く見られます。

ただし、やみくもに相手陣内に攻め込めばいいというものではありません。

マイボールになったら、自チームの数的優位な状況を見出し、相手ディフェンスにマークされていないフリーの選手へ確実にパスをつなぎ、得点する事が一次速攻の基本です。

 

数的優位な状況

相手オフェンスのシュートをキーパーがセーブして、シュートを打った相手が倒れ込んだままであったり、相手の戻りが遅く空いたスペースへ走り込める味方がいれば、簡単に数的優位な状況に持ち込めます。

しかし、実際の試合では相手ディフェンスも戻りますし、数的優位ができる状況は一瞬です。

相手の状況を観察して瞬時に判断する観察力と判断力、そしてチームとしての共通意識を持っていないと、ただのがむしゃらプレーになりかねません。

ハンドボールの速攻では、頭を働かせることも重要なのです。

 

チームとしての速攻意識

マイボールになったら速攻という意識は非常に大切です。

しかし、相手がシュートを打ったら味方全員が走り出すという安易な意識では、リバウンドを相手に奪われ失点してしまうこともあります。

逆サイドで相手オフェンスがシュートを打つと予測したら、サイドプレーヤーは走り出し、2枚目3枚目のディフェンスはリバウンドに対応するといった、チーム内で速攻時の基本的なルールを準備しておく必要があります。

 

速攻は準備・観察・実行が基本

ここまでのおさらいをしてみましょう。

・ディフェンスから速攻の基本的なチーム内でのルールを準備しておくこと

・マイボールになったら数的優位な状況を見出す観察力が必要であること

・攻め込めると判断できたらフリーの味方まで正確にパスをつなぐこと

この3つがそろって、はじめて速攻が成り立ちます。

これは、チームとして速攻を仕掛ける基本になります。

 

一次速攻のトレーニング

現役のハンドボーラーの皆さんなら、速攻練習は毎日のようにしていることと思いますが、初心に帰る意味でも、基本的な一次速攻練習と持つべき意識を紹介したいと思います。

 

ラン&パス

2人一組になり、ランニングとパスだけでコートの端から端までドリブルを使わずに行くラン&パスの練習をしているチームも多いと思います。

ラン&パスの練習で大切なことは、

・パスは味方が走り込む位置に出す

・パスを出したらダッシュでボールをもらえる位置に走り込む

この2点です。

ダラダラとジョギングスピードでおこなうのではなく、実戦を想定して練習する事が大切です。

 

ワンマン速攻

サイドからの速攻を想定して走り出し、キーパーからロングパスをもらい、シュートまで持ち込むワンマン速攻練習ですが、この練習では走り込むスピードと方向を意識しましょう。

走りだすスピードはもちろんダッシュです。

走り込む方向ですが、ダッシュで飛び出した後は、曲線を描くように相手ゴールへ向かう事で、スピードに乗った状態でボールをもらいやすくなります。

キーパーも、ただの球出しではなく、相手ディフェンスが戻る前にパスを届ける事を意識して、早くて正確なボールを最短距離で供給することが重要です。

 

2対1の速攻

ディフェンス役を一人置き、2人で攻め切る2対1の速攻練習も基本的な一次速攻のトレーニングです。

まずは最初にボールを受けた選手はスピードを殺さずに自分でシュートを狙いに行き、ディフェンスが寄せてきたら、走り込んできたもう一人の味方に正確なパスを出すよう心がけて練習しましょう。

 

一次速攻の注意点

最後に、一次速攻での注意点をお伝えします。

試合中での一次速攻では、相手ディフェンスが戻っていないか、他の味方選手にマークが集中している場合を除き、基本的にドリブルは使わない事です。

理由は、相手ゴールから離れた位置でドリブルをついてしまうと、次の選択肢はパスしかなくなり、相手ディフェンスに落ち着いて対処されてしまうからです。

ですので、速攻練習を「ドリブル禁止」のルールでおこなうことも、試合を想定した有効な練習方法です。

すぐにドリブルをついてしまう人が多いチームは、「ドリブル禁止」の速攻練習を取り入れてみてください。

ABOUT ME
HBおじさん
1979年生れ。中学1年からハンドボールを始め、中学3年時に中体連およびJOC県選抜で全国大会出場。 ケガのため20歳で現役を引退するが、34歳の時に大学時代の先輩に誘われ、某中学校ハンドボール部の外部コーチとして再びハンドボールとの関りを持つ。